RESULTS OF ACTIVITIES
乳幼児家庭のニーズ1位は66%で「孤立感の解消」、平均89%の家庭で効果
ここで示している数字は、全国で活動するHSスキーム(地域組織)から活動報告を収集し、2024年4月~2025年3月の1年間の全国の活動実績として集計したものです。
ホームスタートでは、利用家庭のニーズを14項目に分類しており、下のグラフは乳幼児を持つ家庭のニーズと効果を表しています。ニーズの第1位は「孤立感の解消」で、全利用家庭の66%にのぼり、集計を始めてから常にトップです。2位は「子どもの成長や発達の機会を作る」で58%、3位は50%で「親自身の心の安定」です。親が自身の孤立感や不安を抱えながらも、子どもの健やかな成長や発達に力を尽くしたい気持ちがうかがえます。
ニーズに対して、訪問終了後の効果を表すのがニーズ充足度です。「孤立感の解消」は、95%の家庭が充足あるいは一部充足したと回答しています。14項目すべてのニーズに対する平均ニーズ充足度は89%にのぼり、約9割の家庭で悩みが軽減されています。
集計日:2025/5/14 集計期間:2024/4/1~2025/3/31
ニーズ数:7,245 平均ニーズ充足度:89%
対象スキーム:119 利用家庭数:1,546
産前家庭のニーズ1位は「孤立感の解消」と「親の身体の健康」、平均91%の家庭で効果
ホームスタートでは、産前家庭に対しても、2017年度から本格的に訪問支援を開始しました。下のグラフは2024年4月~2025年3月の1年間の産前家庭(初産婦・経産婦を含む)のニーズと効果を表しています。ニーズの第1位は、「孤立感の解消」と「親の身体の健康」で59%にのぼります。次いで「赤ちゃんの健康」、「上の子の成長・発達を促す機会を作る」と続いています。これまで産前家庭の「孤立感の解消」ニーズは少なかったのですが、2024年度は乳幼児家庭と同じく1位となりました。平均の充足度は91%と高く、妊娠期の不安や孤立感を感じながらも、ホームビジターと過ごすことで安心して子育てに向き合えるようになった様子がうかがえます。
産前家庭への支援は、出産により途中で終了を余儀なくされることも多いため、効果を測る対象となる家庭数が少ないですが、産前から産後への切れ目ない支援に向けて活動を拡げています。
ニーズ数:296 平均ニーズ充足度:91%
対象スキーム:84 利用家庭数:64
利用者の半数近くが初めての子育て。ホームビジターの9割は40代以降の子育ての先輩たち
ホームスタートの利用者は65%が30代で、0才児を持つ家庭は全体の約60%にのぼります。さらに、半数近くが子ども1人の家庭であることから、乳幼児を持つ家庭とりわけ初めての子育ての場合には、親がさまざまな悩みやストレスを抱えて支援を望んでいることがわかります。一方、ホームビジターは40代以降が9割近くとなっています。子育てを終了し後輩ママたちを応援したいと活動を始めた方が多いと思われます。利用者とホームビジターが親子のように年令が異なる場合でも、友人として良い関係を築いている例が多く、そのことがニーズの充足につながっていると考えられます。
対象スキーム:119
18%は保健センター等から、17%は子育て支援拠点等から、ホームスタートを知る
ホームスタートを利用するには、必ず申込みが必要で、ご本人からの直接申込が9割以上にのぼります。「申込ルート」の「本人」以外は、紹介者が本人承諾のうえ申し込んで利用を開始した場合を表しています。「情報入手先」は、どこからホームスタートの情報を得たか、を表しています。
保健センター等から情報を得て利用された方は最も多く、全体の18%にのぼります。また、17%の方が、子育てひろばなどの支援拠点を通じて利用されており、紹介や情報提供してくれる他機関との連携が大変重要であることがわかります。
「情報入手方法(本人申込の場合)」では、人から聞いた、つまり口コミで情報を得た場合が半数にのぼり、上記の結果と併せると、信頼できる人や機関から直接聞いた情報が、利用に大きく結びつくと考えられます。さらに、2回以上利用する家庭が15%にのぼっており、妊娠期の利用から産後につながったり、1人目の出産後に利用した方が2人目の出産に際しても利用するなど、切れ目ない支援という効果も表れています。関係機関との信頼関係を築き、多くの人にホームスタートの安心安全な支援の機会を提供できるよう、これからも努めていきます。
対象スキーム:119
累計18,700家庭、132,000回訪問、ホームビジター4,000名の実績 コロナ禍を経て一層の必要性
登録スキーム数は119、利用家庭は累計で約18,700家庭になりました。訪問回数は累計132,000回に上っています。2018年度まで、利用家庭は年間およそ200~300家庭増加してきましたが、2020年1月末からのコロナ禍において、訪問の中止・延期を余儀なくされ、利用家庭数は大きく減少しました。各地でさまざまな工夫や取り組みを進め、2020年夏ごろからは次第に利用が増え始め、2023年度はコロナ前の水準を上回り、2024年度はさらに増加しました。ホームスタートの必要性が改めて認識され、コロナの影響から完全に回復したと思われます。これからも、ホームスタートの周知を進め、全国の子育て・産前家庭のために活動を進めていきます。
訪問して利用家庭を支えるHSホームビジター数は、およそ4,000名になりました。活動をボランティアで支えてくださっています。
※HSホームビジター:家庭を訪問するボランティア
※HSスキーム:各地域でホームスタート活動を実践する地域組織
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