豊田 恵子さんの体験談

各家庭で過ごす時間は、本当に学びの多い時間

ホームビジター

  • 子育て中

私の住まいは豊川市で、10年ほど前から市内のNPOで子育て支援の活動をしています。その活動をしている中で、2009年に豊橋市でホームスタートという事業が始まるということを知りました。広場スタッフをしていた私にとっては、「待つ支援」から一歩踏み出した、「届ける支援」に大変興味をもち、さっそく養成講座に申し込みをしました。講座の中では、ホームスタートの理念についてや、傾聴と協働の実務についてなど、数多くのことを教えていただき、ビジターとしての基本的な知識と姿勢を学びました。

あれから、8年以上が過ぎました。私が訪問させていただくのは、主に豊川市の方のお家ですので、6~7件ほどで決して多くはありません。それでも、各家庭で過ごす時間は、私にとって本当に学びの多い時間です。私自身の訪問経験を振り返ってみたいと思います。

ママたちは、話し相手が欲しい、子育てや地域の情報が欲しい、とにかく日々のつらい気持ちを聞いて欲しい、育児を手伝ってくれる手が欲しいなど、何かで苦しんでいました。困りごとはそれぞれのご家庭により違いますが、「今、苦しい」という状態は共通していたように思います。訪問初日は、利用者であるママも私自身もとても緊張していて、なかなか友達のように気軽にお話しするということの難しさを感じました。しかし、2回、3回とお会いしていく中で、迎えてくださるママの笑顔がやわらかくなり、日々の愚痴なども聴かせてくださるようになると、関係がぐっと近くなったように感じることができました。しかし、訪問回数を重ねる中で、私の中では悩みが出てきます。ママたちの困りごとが深く見えてきた時に、「困っているなら私が代わりに何かしてあげたい」と考えてしまったり、「私の力ではママの手助けにはならないかも」という不安を持ったりしてしまうのです。

そんな時、ホームスタートにはオーガナイザーという力強い存在がありました。報告を兼ねた連絡をしながら相談をすると、「ホームスタートが大切にしていること」を改めて思い出させてくださいます。「そうだった。私は先輩ママとしてそこにいる。ママの力を信じて寄り添うことを心がけよう」そして、また次の訪問に笑顔で出かけていくことができるのです。オーガナイザーさんたちには、本当に感謝しています。

自分自身も仕事をしているので、訪問家庭と日程や時間を調整しながら訪問することは、時として大変なこともあります。それでも、私がビジターを続けている理由は、子どもさんの笑顔とママからの「ありがとう」「助かった」という言葉をいただけるからです。

先日訪問したご家庭では、最終訪問日の帰り際に、お子さんが後追いをするかのように手を伸ばしてくれました。また以前訪問したご家庭では、「豊田さん、いつ来る?」とママに聞いてくれる園児さんや、スーパーでぐずったお子さんにママが「今日、豊田さんが来る日だよ」というと、素直に買い物させてくれたというお子さん。そんなお子さんの姿を感じると、本当にうれしくなります。ある時は、訪問したお家のママの体調が、少し悪そうに見えたので、「訪問、改めましょうか?」とたずねました。すると、「この時間を楽しみに一週間がんばれたから、話したいです!」とママから言われた時には、今日来てよかった!と心から思うことができました。 ママたちは、日々の育児を本当に頑張っています。お子さんのことを大切と思っているのに、どうしようもなくイライラすることがあります。自分を責めたり、もっとできるはずと必死になったりしています。

私たちにできることは、ちょっとした手助けと寄り添うことだけです。でも、それだけでもママたちは笑顔になれるということを訪問の中で感じています。だからこそ、ホームスタートという支援があることを伝えたい。ホームスタートを通して、いろいろな支援や情報を伝えたい。そんなことを思います。これからも、ホームスタートを通じて、親子の笑顔を支える活動を続けていきたいと思います。

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