活動報告
2019/09/19ホームスタート10周年
ホームスタート・まんま より
愛知県 豊橋市 HSまんま
利用家庭からのメッセージ
利用者 吉山 綾さん 2019.9
「保健師さんの紹介」
私は7歳男の子と1歳10ヶ月女の子の双子の母です。まんまを知ったきっかけは、家庭訪問に来て頂いた保健師さんのおかげです。私も主人も遠方出身の為、お手伝いをお願い出来る親戚や親しい友人も居なかったので、まんまやファミリーサポートの利用を勧められました。しかし、出産後直ぐに闘病中だった実父が他界し、病院にもお葬式にも行けず、身も心もボロボロで、とても誰かに自宅に来て貰って、お手伝いをお願い出来る状況ではなかったです。あまり出掛ける事もせずに1年が過ぎ、子ども達が動く様になったら散歩に行かなければならず1人では大変で悩んでいた時、保健師さんから頂いたまんまのパンフレットを思い出し、「今度は、お願いしてみよう」と思いました。電話してみると、オーガナイザーさんの感じも良く、直ぐに自宅に来てくれました。
ご自身も男の子の双子の子育て経験がある方だったので、上のお兄ちゃんの悩み、双子育児の事、沢山良いアドバイスを頂き気持ちが楽になりました!ボランティアでサポートに来て下さった方も一生懸命にお手伝いをしてくれて有り難かったです。色々な人と接して、お話を聞いたり、お話したりする事は子ども達にとっても、自分にとっても大切な事だと思います。家族以外誰にも笑わなかった子ども達が今では近所の人にも笑って手を振ってくれる様になりました。
皆さんも出掛けるのが大変でも、交流会に参加したり、サポートを利用して頂けると、プラスになる事が沢山有ります。私もこれからはボランティアとして、素敵な皆さんと一緒に過ごせたらと思っています!
利用者 水戸 麻実さん 2019.9
「妊娠中よりサポート」
私は2年前の9月に夫の転勤により静岡から豊橋へ引っ越してきました。妊娠6ヶ月でのことだったので、知り合いもいない中での産後の生活がとても心配でした。何かサポートをと思い子ども支援センターの方に聞いたところ、こちらのNPOまんまのホームスタートを紹介されました。両方の実家が遠方だったので産後のために、すぐにまんま代表の長田さんに連絡をとり準備をしました。電話連絡にも快く応じていただき、初めての面接の時は実家の母も同席の場だったため、母共々とても安心したのを覚えています。その後、私は切迫早産で2ヶ月ほど入院してしまったため、産前に連絡しておいて本当によかったと思います。産後は早速ホームスタートをお願いし、加藤さんに計8回のサポートをしていただきました。内容としては産後1ヶ月健診や病院の付き添い等、主に出かけることが多かったです。お出かけのサポートはもちろん、様々な話、子育てのちょっとした不安や雑談、子どもの成長を共に喜べたことが本当にありがたかったです。産後は社会との接点が少なくなりますが、当時の私の場合もホームスタートが主な社会との繋がりでした。
NPOまんまの素晴らしいところは、皆さんの雰囲気がとても良いところで、ホームスタートが終わった後も「縁がわ」という月1回の集まりにほぼ毎回参加させていただいています。そこで子育て情報を教えてもらったり子どもと遊んでもらったりと、毎回とても充実した時間を過ごさせてもらっています。お陰さまで子どもの雪乃も現在1歳4ヶ月になりました。NPOまんまのホームスタートという素晴らしい活動がいつまでも続くことを願っています。
利用者 生田 清代さん 2019.9
「子育ての安心感」
ホームスタートを利用したのは昨年8月、長男が5歳、次男が3歳の時でした。我が家は転勤族で、7月に豊橋に引っ越してきて、友達もいない、どんな子育て支援や遊び場があるかも分からず、藁をもすがる思いでHSに電話しました。コーディネーターさんが訪問して下さり、初回の面談で、子どもたちの様子を実際に見ながら、こちらの実情や要望を丁寧に聞いていただきました。どこかに登録に行くのではなく、家に来てもらえたのは助かりました。牛川の1キロ公園に2回、ココニコに2回行きましたが、どちらも初めて行く場所で、特に1キロ公園はビジターさんが一緒でなければ、今でも行く勇気が持てなかったと思います。兄弟それぞれがバラバラな方向に行ってしまっても、ビジターさんと役割分担をして子ども達を自由に遊ばせてあげられたのが、引っ越してきてから久しぶりでした。また、長男は自分のおばあちゃんのようにビジターさんに甘えていて、それを見ていて私も心が穏やかになり、うれしかったです。
前に住んでいた神戸や、今も豊橋のファミサポを利用したことがありますが、HSはファミサポと違って、子どもを預けるのではなく、私も一緒に時間を過ごすので、ビジターさんといろいろお話できてよかったです。子育ての先輩であるビジターさんが、子どもの状態を見て、私の声かけが上手だねと褒めていただいたり、いい子に育っているよ、と励ましていただき、手探りでの子育てに少し自信が持てました。
4回の支援が終わった後も、「縁がわ」という月に1度集まれる場所があったり、私自身が豊橋で知り合いや友達を作りたいという気持ちをくみとって、HSの運営母体であるNPOまんまが主催している子育て広場のボランティアに誘っていただき、週に一度参加させていただくことで、ボランティア仲間、地元の人との繋がりを感じられるようになりました。また、親族がいない場所で、いざとなったら連絡できる人ができたのは大きな安心感になっています。市役所や幼稚園ではない個人的なつながりで、またファミサポとは違い、お金が発生しないところでできた縁なので、信頼、気持ちで繋がっているという感覚があります。
ビジターさんは、頻繁に会うことはないものの、おばあちゃん的に子どもの成長をずっと一緒に見守ってくれて、ありがたいです。私がこんなに早く豊橋での生活、子育てになじめたのはHSのおかげだと思って感謝しています。

利用者 佐藤 麻美さん 2019.9
「助産師さんの紹介」
私は2歳になる男の子の母です。私がホームスタートを利用したきっかけは息子が生後3か月のころ、ふとしたことで発達に不安を抱くようになったことです。当時は身近に相談できる相手もおらず、一人で悶々と考えているうちに、心配事は日に日に大きくなっていきました。3か月検診では悩みを聞いてもらおうと思っていましたが、実際に行ってみると大勢の人がいて気後れしてしまい、結局言い出すことができませんでした。
その頃の私は精神的に余裕はなく、頭では息子に笑顔で接したいと思うのにうまく笑うことができずにいました。これではやはりいけないと思い、勇気を出して改めて「ほいっぷ」に相談に行くことにしました。すると助産師さんが親身になって話を聞いてくださり、一つの案としてホームスタートの利用を提案してくれました。
藁をもすがる思いで連絡すると、すぐにオーガナイザーの長田さんが自宅に来て話を聞いてくださり、ビジターさんにも来ていただけることになりました。ビジターさんは優しい雰囲気の方で、初回からすんなりとコミュニケーションをとることができました。また、4人の子育て経験者という大先輩で、ご自身の経験もいろいろと話をしてくださいました。毎日息子と二人きりで過ごしていた私にとって、話し相手となってくれるビジターさんの存在が本当にありがたいものでした。発達の心配事についても、身内には「要らぬ心配をかけてしまうかもしれない」と相談できずにいましたが、ビジターさんには他人であるからこそ、気軽に相談することができました。だれにも言えなかった中身を打ち明け、共感してもらうと少し心も軽くなりました。
ビジターさんの訪問は4回で終わりましたが、「縁がわ」というホームスタートの利用者が集まれる機会が月に一度あります。今はそこで、まんまの方やほかの利用者さんたちとお話しできるのを楽しみに
しています。また、ホームスタートを利用したことをきっかけに、「まんまリズム、はだしdeまんま」等、ホームスタート以外のまんまの活動を知り、参加するようになりました。そこでも少しずつ知り合いを増やすことができ、あの時勇気を出してホームスタートを利用して本当に良かったと思っています。子育ての悩みをいろんな方向からサポートしてくれるまんまの活動が周知され、たくさんの人が利用できるようになることを祈っています。
利用者 服部 悠里さん 2019.9
「母子手帳交付時に知りました!」
子どもは1歳4か月の男の子でこの子が最初の子どもです。まんまのホームスタートにお世話になったのは、昨年の10月から11月で、ビジターさんに来ていただいたのは、週一回、約2時間の訪問、これを合計6回です。
私がホームスタートを知ったきっかけは、豊橋市で母子手帳の交付を受けた際に教えていただきました。私も夫も豊橋が地元ではなく、頼れる親せきや友人が近くにいないので、万が一の時にはお世話になるかもしれないとパンフレットを保管していました。そして子どもが6か月を過ぎたあたりから、夜泣きと後追いが始まり、昼も夜も全く休まるときがなく、精神的にも肉体的にもかなり辛い時期が続きました。そこでホームスタートを思い出し、連絡を取りました。
最初にオーガナイザーさんの訪問があり、今の私の現状や悩みをしっかり聞いてくれて、実際にビジターさんが来てもらった時に何をするのかということをお話ししました。私の希望は、「とにかく話を聞いてもらいたい」「子どもと二人きりでいたくない」ということでした。そして、立てた予定はビジターさんに子どもを見てもらっている間に溜まった家事や自分のやりたいことをやるという内容でした。その後、ビジターさんの訪問が始まり、子どもを見ていてもらおうとしましたが、人見知りの激しい時期だという事もあり、2時間ずっと大泣きでした。それでもビジターさんは笑顔でずっと子どもの相手をしてくれていました。2回3回と回数を重ねてもずっと大泣きなので、当初の予定を変更し、一緒に公園や子育て支援センターに行くことになりましたが、一人で子どもを連れて行くより物理的にも気分的にもとても楽でした。また、このホームスタートを利用している間、私が体調を崩して病院に行かなくてはならなかったことがありました。その時もビジターさんに子どもと一緒に病院まで付き添ってもらい、私が診察を受けている間、子どもと待合室で待っていてもらいました。この時は本当に助かりました。病院はもちろん他の外出の際でも、トイレやちょっとした買い物など、子連れではなかなか面倒なことも、ビジターさんと一緒だととても助かります。当初の予定とは大きく違ってしまいましたが、その都度ビジターさんやオーガナイザーさんが臨機応変に対応してくださり、実のある訪問内容になりました。
そして、ホームスタートを利用して一番よかったと感じたことは、毎回同じ人に来てもらえることです。家族以外で、同じ人に一定期間、子どもを一緒に見てもらえることでとても安心できました。週1回でも毎回会うたびに子どものちょっとした成長の変化に気づいてもらえて、それが自分でも気づかなかったことだったりして、とてもうれしかったです。
ホームスタートが終了した現在でも「縁がわ、はだしdeまんま」に参加し、オーガナイザーさんや他のお母さんとの交流があり、また、先日は、「ビジター交流会」で久しぶりにビジターさんにもお会いできました。ホームスタートの時に大泣きしていた子どもも、この時はビジターさんと楽しそうに遊んでいました。ホームスタートやまんまの活動にお世話になるようになって、その場限りではなく継続的に自分たちを知ってくれている方々と関われることができました。子どもの成長と共に、育児の悩みも変化していきます。普段の生活で、「こんな時どうすれば良いのか?」と思った時に、「今度まんまに行ったときに聞いてみよう」と思える場所ができたことがとてもありがたいです。まだまだ子育てをしていてわからないこと、大変なことばかりですが、このご縁を大切に、楽しみながら子どもの成長を見守っていきたいと思います
利用者 関 真由子さん 2019.9
「双子の子育て支援」
子どもは男の子ばかり3人。ちょうど2歳差で下が双子の3人兄弟の母です。ホームスタートは、上の子どもが3歳半、下の子どもたちが1歳半の頃に利用させてもらいました。私はホームスタートを利用して、感じていた孤独感や子育てに関する不安感を解消できたことがありがたかったです。その頃の私は、周りから取り残されているような孤独感と、双子ゆえに上の子の時と同じように子育てできない「焦り」や「不安」を抱えていました。『上の時はもっといろんなところに連れて行ってあげたのに・・・。もっと丁寧に離乳食を食べさせてたのに・・・。布オムツで早くからトイレトレーニングもできたのに・・・。』多分、はたから見たら、それほど深刻な悩みではなかったと思います。でも、家にこもって子育てをしている時間が長い毎日を過ごしていると、世界中がそこ中心になってしまったような気になって、悶々とした思いが大きくなっていきました。
そんなとき、ホームスタートが特集されている記事を目にし「こういう支援が今の自分に欲しいかもしれない」と感じました。「じっくり自分の話を聞いてもらう、共感してもらう、認めてもらう」これだけで人の気持ちが楽になるものなんですね。私は人に頼ったり甘えたりするのがあまり得意ではないので、始めはあまり本心を言えなかったり、ビジターさん(とても優しくて笑顔がステキな方)にどう接していいかわからず緊張していました。でも8回の訪問を終えるころにはビジターさんの顔を見ると安心するようになっていました。週に1回、2時間と言った短い時間なので特別なことをしたわけではありません。もっとできたら・・・と思っていた公園遊びは一度だけで、その頃とても大変だった上の子のスイミングの付き添いに一緒に来てもらっていました。(腰を痛めていた時期でもあったので、一緒に来てもらえるのは物理的な意味でもありがたかったです。)そんなバタバタした生活の中に来てもらっていたのですが、その合間にビジターさんは私の話をたくさん聞いてくれました。子ども達と一緒に遊ぶ中で「こんなことできるんだね」と、子どものことを見て気づいてくれるのも、嬉しかったです。私からしたら何気ない愚痴や悩みを漏らしていただけだったのですが、ビジターさん相手だと話した後はすっきりした気持になっていました。夫や親やママ友に話した時とは違い、前向きで「また頑張ろう!」という気分になれました。大丈夫、ちゃんと育っているよ、と気づかせてもらえました。上の子どもの時のように子育てできてないという不安や焦りは、いつの間にか「大丈夫だ」と思えるようになりました。「身近にうちの子どもたちの成長を喜んだり、楽しみにしてくれる人ができたんだ」と感じました。もちろん、今年1年生と年中になった子ども達も「ビジターさんのことが大好き!」と言っていました。
訪問期間はとっくの前に終わっていますが、今でも利用者交流会に顔を出すのを親子ともども楽しみにしています。家族ともママ友とも違う、信頼できるひと、安心できる場所。それが私にとってのホームスタート、そしてNPOまんまさんです。本当にありがとうございました。

ホームビジターからのメッセージ
ホームビジター 岩佐 由紀子さん 2019.9
「ホームスタートの活動を通して感じたこと」
私がビジターになって三年が経ちました。現在小学生の子どもが二人いて、パートをしながら訪問をさせてもらっています。なかなか訪問を引き受けられない時期もあり、今までの訪問件数としては少なく、現在4件目のお宅を訪問させてもらっているところです。
私は知り合いに誘ってもらったことがきっかけで、ホームビジター養成講座を受けました。それまでホームスタートの存在は知りませんでした。ビジターを引き受けることを、最初はとても迷いました。自分自身もいろいろ悩み、迷いながら子育てをしてきたので、そんな自分だからこそできるかもしれない、今悩みながら子育てしているお母さんたちの気持ちに寄り添うことができるかもしれない、私にもできることがあれば、という思いで引き受けさせていただきました。
私の二人の子どもの年齢差は1歳8カ月で子どもたちが小さい頃の子育ては特に大変でした。それでも私は人に頼ることが下手で、自分一人で何でもやってしまおうとするところがありました。自分が疲れていたり、自分が思うように子育てができずイライラしてしまうと、子どもを必要以上に怒ってしまうこともあり、ニュースでよく見る虐待も他人事ではないな、と思ってしまうこともありました。家で二人の子どもと過ごすことが多かったですが、私の場合は多くの保育園で子育て広場があることを地域の回覧で知り、そこに行くようになってから、少しずつ知り合いができました。子育ての悩みや不安を他のママ達とも共有することができるようになり、話すことで自分の気持ちも軽くなりました。私の子どもが小さかった頃は、今よりも支援センターが少なく、ココニコや東山子どもセンターに行ったこともありました。どちらも家から車で30分以上かかったので、子ども二人を一人で連れて行くのが大変で頻繁に通うことはできませんでした。今は色々な地域に支援センターができているのでとてもいいなと思います。私が今までに訪問させていただいた4件のうち3件は0才児2才児のお子さんがいるお宅でした。2歳というといろいろなことに興味を持ち始め、動きも活発になってくるので1日家の中で過ごすのも大変になってくる時期です。私が訪問した中では支援センターやつどいの広場に一緒に出掛けることもよくありました。初めての場所に一人で行くことを不安に感じるお母さんも、ビジターがいることで行きやすくなるように感じました。支援センターなど室内で遊べる場所だと、まだ寝ていたり、ハイハイの時期の赤ちゃんがいるお母さんでも行きやすく、ビジターや支援センターの支援員等周りの人の目もあることで、お母さんたちも安心して過ごせるように感じました。
子どもたちが笑顔で遊べると、お母さんたちも自然に笑顔になります。お母さんや子どもたちの笑顔を見て、私が元気をもらうこともたくさんあります。ビジターとおしゃべりをしたり一緒に出掛けたりすることで、日々子育てや家事を頑張るお母さんの気持ちが少しでも軽くなるといいなと思います。
これからもホームスタートが、知り合いが居なくて孤立したり子育てに悩むお母さんたちに広まり、笑顔で子育てを楽しめるお母さんが増えていくことを願っています。
ホームビジター 長坂 路恵さん 2019.9
「子育ての応援がしたい」
どうしてビジターになったかをお話ししたいと思います。私は子どもが4人いますが、周りに手伝ってもらえる人がいなくて、胃潰瘍になりながらも頑張った子育てでした。そんな時に子どもを外で遊ばせていると、近所のおばさんに声をかけてもらったり、悩みを話すと「皆そうだよ」と言ってもらえたのが嬉しくてなんとか子育てできました。そこからいつか若い人の子育ての応援をしたいと思い続けて60歳で仕事をやめて、62歳の時にビジターになりました。
ビジターとして今までやったことは、お子さんを2人連れての予防接種や利用者さんの通院への付き添い、公園や買物への同行です。お子さんと遊びながら一生懸命に利用者さんの悩みや困っていることを聴きました。今の時代は、わからないことはすぐにスマホで調べられて分かっても、自分のやっている育児に自信がなくて不安な人が多いと感じます。ホームスタートを利用してくれる人は、真面目で頑張り屋のお母さんがほとんどです。私は話を聴いて、上でも下でもなく、横にいて「それでいいよ」とちょっと背中を押すだけですが、利用者さんに「来てもらってよかった」と言われるのが嬉しくて、次の訪問につながっています。
ホームビジター 豊田 恵子さん 2019.9
「ホームスタートへの思い」
私の住まいは豊川市で、10年ほど前から市内のNPOで子育て支援の活動をしています。その活動をしている中で、2009年に豊橋市でホームスタートという事業が始まるということを知りました。広場スタッフをしていた私にとっては、「待つ支援」から一歩踏み出した、「届ける支援」に大変興味をもち、さっそく養成講座に申し込みをしました。講座の中では、ホームスタートの理念についてや、傾聴と協働の実務についてなど、数多くのことを教えていただき、ビジターとしての基本的な知識と姿勢を学びました。
あれから、8年以上が過ぎました。私が訪問させていただくのは、主に豊川市の方のお家ですので、6~7件ほどで決して多くはありません。それでも、各家庭で過ごす時間は、私にとって本当に学びの多い時間です。私自身の訪問経験を振り返ってみたいと思います。
ママたちは、話し相手が欲しい、子育てや地域の情報が欲しい、とにかく日々のつらい気持ちを聞いて欲しい、育児を手伝ってくれる手が欲しいなど、何かで苦しんでいました。困りごとはそれぞれのご家庭により違いますが、「今、苦しい」という状態は共通していたように思います。訪問初日は、利用者であるママも私自身もとても緊張していて、なかなか友達のように気軽にお話しするということの難しさを感じました。しかし、2回、3回とお会いしていく中で、迎えてくださるママの笑顔がやわらかくなり、日々の愚痴なども聴かせてくださるようになると、関係がぐっと近くなったように感じることができました。しかし、訪問回数を重ねる中で、私の中では悩みが出てきます。ママたちの困りごとが深く見えてきた時に、「困っているなら私が代わりに何かしてあげたい」と考えてしまったり、「私の力ではママの手助けにはならないかも」という不安を持ったりしてしまうのです。
そんな時、ホームスタートにはオーガナイザーという力強い存在がありました。報告を兼ねた連絡をしながら相談をすると、「ホームスタートが大切にしていること」を改めて思い出させてくださいます。「そうだった。私は先輩ママとしてそこにいる。ママの力を信じて寄り添うことを心がけよう」そして、また次の訪問に笑顔で出かけていくことができるのです。オーガナイザーさんたちには、本当に感謝しています。
自分自身も仕事をしているので、訪問家庭と日程や時間を調整しながら訪問することは、時として大変なこともあります。それでも、私がビジターを続けている理由は、子どもさんの笑顔とママからの「ありがとう」「助かった」という言葉をいただけるからです。
先日訪問したご家庭では、最終訪問日の帰り際に、お子さんが後追いをするかのように手を伸ばしてくれました。また以前訪問したご家庭では、「豊田さん、いつ来る?」とママに聞いてくれる園児さんや、スーパーでぐずったお子さんにママが「今日、豊田さんが来る日だよ」というと、素直に買い物させてくれたというお子さん。そんなお子さんの姿を感じると、本当にうれしくなります。ある時は、訪問したお家のママの体調が、少し悪そうに見えたので、「訪問、改めましょうか?」とたずねました。すると、「この時間を楽しみに一週間がんばれたから、話したいです!」とママから言われた時には、今日来てよかった!と心から思うことができました。
ママたちは、日々の育児を本当に頑張っています。お子さんのことを大切と思っているのに、どうしようもなくイライラすることがあります。自分を責めたり、もっとできるはずと必死になったりしています。
私たちにできることは、ちょっとした手助けと寄り添うことだけです。でも、それだけでもママたちは笑顔になれるということを訪問の中で感じています。だからこそ、ホームスタートという支援があることを伝えたい。ホームスタートを通して、いろいろな支援や情報を伝えたい。そんなことを思います。これからも、ホームスタートを通じて、親子の笑顔を支える活動を続けていきたいと思います。

ホームビジター S(おせっかいばあば)さん 2019.9
「ホームスタートの活動を通して感じたこと」
私がホームスタートと出会ったのは孫が幼稚園に通うようになりあまり会えなくなってしまい、もっと子どもと遊びたいと思っていた頃でした。友人から「家に訪問して子どもと遊べてとっても楽しいし何より若返る」との言葉に誘われ心が揺らぎました。時間もあったので軽い気持ちで講座を受けてみました。そこで自分にはできないだろうなと思う様々な研修を受けて不安でしたが、そのままビジターとして踏み出してしまいました。
はじめのころの訪問は緊張して利用者さんとどんな話をしたのかあまり覚えておらず、のちにあの時変なこと言ってしまったとか、こんな話をすればよかったな、とか反省と心配ばかりしていました。そして何人目かの利用者にちょっと気にかかるお母さんと出会いました。子どもさんは11か月まだ小さいとのことでほとんど外出しないで一日中家の中で二人きり、おとなしいお母さんなのでそれが不満とは思ってなく淡々と生活している様でした。私は子どもさんにあまり話しかけていないのが心配になって2回目か3回目に「お散歩行ってみる?」と聞いてみたら、「行こうかな」と言ってくれました。ちょうど桜の頃で近くに花見に行きました。歩きながら「お花きれいね~」「気持ちいいね~」と意識して子どもさんに話しかけました。それが良かったのか、次から訪問するとお散歩、つどいの広場などに出かけるようになりました。ある日お母さんから私が隣にいてくれるだけで心強いと言われました。離乳食のことも話をしていたのでお節介ばあさんと思われてるだろうなと思っていたのでとっても嬉しい出来事でした。
今ビジターをやって感じたことはお母さんたちはみんな子育てを頑張っている人たちばかりです。頑張りすぎて気持ちに余裕がなくいっぱいいっぱいで子育てしているように感じます。子どもさんの発育の状態は様々だと思います。肩の力を抜いて笑顔で話しかけてくださいね。子どもさんの笑顔が返って来ますよ。そして私のようなおばさんたちともっともっとおしゃべりして楽になってくださいね。でも訪問し、お母さんとおしゃべりしたり、子どもさんと遊んだりして一番元気をもらい若返っているのは私ですよ。
今ではビジターとして年に4~5組の新しい娘と孫ができるようです。訪問が始まると「今回はどんな家族に出会うかな?」とわくわくしています。利用者の皆さん私を元気にしてくださり、本当にありがとうございます。これからもよろしくお願いします。
ホームビジター 村松 右子さん 2019.9
「訪問を始めて8年」
ホームスタートのビジターを始めて8年になりますが、孤立して不安を持ちながら子育てをしているお母さんが本当に多いのだと実感しています。
ビジターとして訪問するときは健康を第一に考え、お子さんを傷つけるようなものを身につけていないか、自分の気持ちは穏やかか、等を点検して出かけます。そして子育ては心身ともに負担がかかるので、気持ちだけでも楽になっていただくために、困難や辛さを話していただける関係を築くよう心がけています。他人の気持ちを100%理解するのは不可能で、100%分かったなどと思ってはいけないのですが、「立場をできるだけ理解しよう、気持ちに近づこう」と心から思って接するとその気持ちは利用者さんに伝わると感じています。
「明日ビジターが来てくれると思うと今日一日頑張れる」「ビジターと話しているうちに自分が本当は何に悩んでいたのか気づく事ができた」「誰かが来てくれると気持ちが落ち着きゆっくり考えることができる」「背中を押してもらえた」等の利用者さんの言葉は、少し孤立感が解消され、気持ちが落ち着きご自分を客観的に見られるようになったから出てきたのだと思います。そして素直に人と対話することから生まれた効果だと思います。
産後うつの方が涙を浮かべていたり、子どもに手をあげてしまったり、「虐待する気持ちもわかる」「カッとなると行動に移してしまいそうになる」等と話されていた利用者さんが徐々に変わってゆかれ、落ち着かれると、訪問を終了しても大丈夫だと感じます。
ホームスタートの訪問は終了しても、まんまとのつながりは続いているので、「何かあったらいつでも相談してください」とお伝えし、オーガナイザーと相談して訪問を終えます。ほとんどの方が2時間×4回の訪問で、安心できる状態になられるので、この時間枠はちょうどいいのかなと思います。
かつて利用してくださった利用者さんと偶然お会いすることもあるのですが、皆さんお元気に生活していらっしゃり、「あの時は本当に辛かった」「あの時を乗り越えられたから今がある」と話してくださったり、お子さんが増えているのを見るのは大きな喜びで、利用者さんのお手伝いをしていると、同時に私も支えられているなと思っています。
ホームビジター 渡辺則子さん 2019.9
「ホームスタート10年に感謝して」
私は子どもの頃から子ども好きな子どもでした。今から70年前、年間の行事は家族や地域で、多世代が交流する、豊かで濃密な時代を農村で過ごしました。家庭や学校・職場でない、第三の場=サードプレイスと呼ばれる「居場所」の原体験ができたと思います。
私の子育ては、豊橋に引っ越した2か月後に出産した時から始まりました。知り合いは一家族のみ。退院直後は実母の助けを受け、その後実家で静養。第2子出産の際には、第1子を近くの保育園で一時預かりを願い出ましたが、40年前にはその制度がなく断念。母親仲間の情報で、近くの先輩女性に子守を依頼。今でいう「ファミリーサポート」で切り抜けました。当時は子育てを母親同士が自主的に互助活動として行う流れが全国にありました。私は自宅を絵本のある居場所とし開放して、地域子育て活動を始めました。今もその活動に参加しています。
12年前、「ホームスタート」が日経新聞で紹介された時、ボランティアによる家庭訪問活動は、私たちNPOの地域子育て互助活動のミッションに合致すると導入を決め、2年後に事業を開始。
私は5年前にビジターに登録し、家庭訪問が始まりました。オーガナイザーから電話で訪問打診があると、まず、ありがたいなと思います。詳しくお話を聞きながら、私にできることを考えます。曜日や場所、一緒に過ごす時間の流れを思います。オーガナイザーの私への信頼をしっかり受け止め、ビジターとして紹介されるための訪問に同行する中で、訪問家庭との信頼関係づくりが始まります。
初めの頃、訪問先で自分の立ち位置を定めることができず気持ちが揺れ動きました。そんな時にはオーガナイザーに正直に気持ちを伝えます。助言を受けることを通して、またフォローアップ講座で学ぶなかで、落ち着くことができました。仲間のビジターの経験を自分の活動に活かすことも大切にしています。
ホームスタートは子育て経験のあるボランティアによる活動です。ビジターとして訪問先のお母さんの気持ちに触れたと思った私の子育て経験を五つお話します。ひとつ。私の子育て中、一番の願いは、「朝までぐっすり眠りたい」でした。ふたつ。母乳不足で悩んでいた時、渥美線の車中で隣に座ったお母さんから「3か月たてば母子とも慣れるよ」と聞いて救われました。みっつ。ほんのひとときでしたが、ベビーベッドから離れて、近くの公園で、一人になって見上げた星空とその時の解放感。よっつ。今も反省しているのは子どもとお風呂から上がった時、赤ちゃんを抱いた私は、叱る必要がないのに、2歳の子どもに当たってしまったこと。いつつ。私は書物からの情報で頭でっかちになっていました。今ならスマホの検索漬けの母親間違いなしです。「母乳が出ないから私は母親失格です」と、病院の公衆電話口で泣いていた母親でした。
こんな私の経験が家庭訪問でお母さんの気持ちに重なり共感することが多いです。いっときでもお母さんのほっとする気持ちに寄り添うことをと願っています。何より赤ちゃんからの絶対の信頼を込めた笑顔に励まされることは、ビジターとして最高の喜びです。
・ホームスタート活動から学んでいること
「傾聴」・・最も私が苦手なことです。ついつい、教えたいという気持ちが動きます。その反面、沈黙になります。傾聴は本当に難しいです。今も、毎回、修行中です。
「協働」・・お母さんに添うことで、求められていることが何か分かってきます。私が口や手を出したい気持ちを引いて、見守ります。すると、なんて若いお母さんは素敵だろうと、目を見張ります。とても真似できないなと、尊敬します。
ホームスタートで「協働」を学んだことで、家庭の母子との協働が地域・行政の協働に広がる質の高い実践であることを確信しています。これからも「基本的信頼関係」を築くことを大切にして、訪問家庭をリスペクトする活動を続けたいと願っています。ありがとうございました。

トラスティーの方からのメッセージ 2019.9
